気管支喘息(以下、喘息)は、主に空気中に浮遊している様々な異物(ハウスダスト、花粉など)を、呼吸運動とともに吸入した結果生じる、アレルギー性の気管支の炎症が原因となって生じる病気です。このアレルギー性の炎症は、その方の体質に由来するもので、いったん発生すると完全に消失することはないことが判明しています。このアレルギー性の炎症がひどくなると、空気の通り道である気管支が通常より狭くなって症状が出ますが自然に、または治療によりその狭窄が軽くなると症状が無くなります。
喘息の症状は突然、咳・呼吸困難・喘鳴(ゼーゼーいう)が生じることです。
症状の特徴は、
喘息は、一時的な病気ではなく、高血圧症や糖尿病と同じ慢性の病気なので継続的に治療することが大切です。
喘息の発作を急におこさないようにする治療が最も大切ですが、もし急に喘息の発作が起こったら、落ち着いて発作時の指示を書いたカードを読んで、そのとおりに薬を使用してください。当院の患者さんには、喘息の発作が生じたときに使用する薬剤(吸入で使う気管支拡張薬、吸入の効果が不十分な場合の内服薬)の使い方の基準を記入したカードをお渡ししていますのでそれに従って薬を使用してください。
以前の喘息の治療は、症状が出たときだけ行っていました。当時、喘息は正常な気管支が突然、狭窄を起こす病気と考えられていたからです。
その後原因についての研究が進み、喘息の患者さんの気管支には100%アレルギー性の炎症が存在し、このアレルギー性の炎症は、患者さんが無症状のときも軽度ながら持続していることが判明しました。
突然起こる気管支の狭窄は、アレルギー性の炎症が悪化した時生じること、気管支の狭窄を防止するためには、常にアレルギー性の炎症をコントロールすることが必要なことが判明した結果、現在の喘息の治療は以前と大きく考え方が変わり、症状がない時でも継続的に行うこととなりました。
現在、アレルギー性の気管支の炎症に最も効果のある治療薬として、吸入ステロイドがありこれを主軸として治療計画が組み立てられるようになっています。
また最近は、重症の喘息に対するまったく新しい治療法として、アレルギーの原因となっている抗体を中和する治療薬が開発されており、当院でも導入しています。