咳喘息
咳喘息について
咳喘息は単なる「長引く咳」ではありません。
近年の研究では、気管支喘息と共通の気道炎症を有する病態であり
1.咳喘息とは
咳喘息は、咳を主な症状とする「喘息の一歩手前の状態」です。 国際喘息ガイドライン(GINA)では喘息の一病型とされていますが、患者さんには 「典型的な喘息へ進行する可能性のある状態」 と理解していただく方が分かりやすい病態です。
2.気道炎症と検査について
当院では以下の検査を参考に診療を行います。
■ FeNO(呼気一酸化窒素)検査
・25ppb未満:気道炎症は比較的少ない可能性
・25~50ppb:軽度~中等度の炎症の可能性
・50ppb以上:好酸球性気道炎症が強く疑われる
※数値のみで判断するものではありません。
■ 呼吸機能検査
肺活量や気流制限の有無を評価します。
■ 症状評価
咳、夜間症状、運動時症状、生活への支障などを評価します。
3.治療の目的
① 咳を改善する
② 日常生活を維持する
③ 気道炎症を抑える
④ 喘息移行リスクを下げる
⑤ 将来の喘息発作を予防する
⑥ 肺機能低下を防ぐ
4.最も重要な説明
現在の医学では、咳喘息から気管支喘息への移行を100%防ぐ方法は存在しません。
吸入ステロイド薬(ICS)は喘息移行リスクを低下させることが期待されていますが、完全に予防するものではありません。
国内外の報告では、咳喘息患者さんの約30~40%前後が典型的喘息へ移行すると報告されています。
そのため、適切な治療を継続していた場合でも喘息へ移行することがあります。
5.感染症(特にCOVID-19)について
風邪、インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は気道炎症を悪化させる可能性があります。
特にCOVID-19感染後には、これまで安定していた咳喘息患者さまが喘息へ移行したり、喘息が悪化したりすることが報告されています。
感染症を契機とした喘息移行は、患者さまの努力不足や医療機関の治療不足を意味するものではありません。
6.当院の診療方針
当院は呼吸器専門クリニックとして、症状だけでなく客観的データに基づく管理を重視しています。
FeNO、呼吸機能検査、症状評価を経時的に記録し、患者さまご自身にも状態を理解していただきながら診療を進めます。